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哭声 コクソンのILLminoruvskyのレビュー・感想・評価

哭声 コクソン(2016年製作の映画)
3.2
原題『곡성(哭聲)』 (2016)

監督・脚本 : ナ・ホンジン
撮影 : ホン・ギョンピョ
編集 : キム・ソンミン
音楽 : チャン・ヨンギュ、タルパラン
出演 : クァク・ドウォン、ファン・ジョンミン、國村隼、チョン・ウヒ、他

とある田舎の村に一人のよそ者が出現したのをきっかけに凶悪な殺人事件が頻発し、人々が混沌の中に突き落とされるさまを描く、異色のオカルト・サスペンス映画。

「混沌、混乱、疑い」映画。

『チェイサー』『哀しき獣』ではスピード感を重視して直接的な暴力描写を用いたナ・ホンジンが、一転してシャーマニズムのほかキリスト教に関する要素を取り入れ、徐々に追い詰められる心理を丹念に捉えた、観る人によって様々な解釈が出来るであろう作品。

個人的に、あまり観たコトのない独特のテイストの作品で、オカルト系映画が苦手なのと聖書について門外漢でもあるため、ずっと何を観せられているんだ…感が凄くて、いまいちコレを面白がれる感性を持ち合わせて無く、演技、撮影は素晴らしかったのですが、楽しみ方がわからないまま面白味もさほど感じることなく終わってしまった一作でした。

土着信仰だった村人達が新興宗教(キリスト教)に侵食されたかのような、信じていたモノ(信仰)がグラグラと揺らぎ、「追い詰められる」という感覚をこの作品で描いたのだろうか…

「今回は、被害者がどんな原因によってなぜそのような事件に巻き込まれることになったのかについて書いてみたいと思ったのです。彼らがなぜそんな悲惨な経験をしなければならないのか、色々と考えさせられる映画を作ろうと思いました。社会全般の決してよくない雰囲気を包括的にこめた映画を作りたい。そう思って脚本を作り始めました。
“よそ者”を日本人にしたことについて、ひとつは新約聖書の影響を大きく受けています。イエスがエルサレムに向かっていきますが、その時にユダヤ人がどのように受け止めたのかというフィーリングを活かしたいと思いました。この映画は混沌や混乱、疑惑について描いていますが、イエスは歴史上最も混乱を与え、疑惑を持たれた人物の中の一人ですよね。そういう意味で、見た目は似ているけど全く違うという異邦人が必要でした。見分けるのが本当に難しいものが自分の内部に入ってきた時、敵なのか味方なのか分からなくて混乱しますよね。映画が持っている<混同>というテーマを表現するのにそんな存在が理想的じゃないかと思いました。」
- ナ・ホンジン -
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