アリー/ スター誕生のよしのネタバレレビュー・内容・結末

感動したというより納得しました。
アリーの障害になるから別れてくれ、みたいなことを言われたらこうなるだろうなと思えてしまう展開です。
現実でもあり得そうな話。

歌は圧巻ではありますが、最初に良い曲を持ってきすぎで、映画の中でジャクソンが揶揄してましたが、アリーが人気になった時のジーンズのお尻～の歌みたいな曲ばっかりを歌っていてエミー賞を獲れるなんて監督は世間を馬鹿にしすぎなのでは、と思ったのですが…

よくよく考えると現実でも『何でこんな曲が売れてるの？』って曲が人気だったりするし、その反面、本当に良い歌は何年経っても歌われ続けるので世間も良い曲は分かってると思うんですよね。
キャッチーな曲はその場限りで、良い歌はその歌手が亡くなっても歌われる。
映画の中でもジャクソンが死んで、彼の曲が歌われたように、ちゃんと彼は皆に支持される曲を残しているんです。

ジャクソンは元々心が弱い面もあってアルコール依存症になったとは思いますが昔から自身の境遇を悲観していたのかなと思います。ひどくなったアルコール依存もアリーへの嫉妬心だけではなくて、こんな曲が世の中に受け入れられるんだ、という絶望があったように見えました。病院でアリーに『元の君が戻ってきたら』と言っていたように、最初に『shallow』を歌った時の彼女に惚れて、彼女を愛しているのに彼女はろくでもない歌で評価されて賞を捕る。それが受け入れられられなくてアルコール依存も深くなっていったのだと思います。

でも彼には気付いてほしかったけれど、リスナーもアリーの『shallow』が好きで、ちゃんと良い曲は評価されている。それに、彼が死んだことにより証明されたけれど、良い曲は残る、ということを知っていたらこんな結末にはならなかっただろうと思います。

ジャクソン(ブラッドリー・クーパー)が主役であればこの映画はもっと分かりやすかったと思うのですが、ガガの映画として観てしまうとその辺りが分かりづらいというか、アリーの側に立って観ると、何でこんな夫でも別れずにいるんだろ？恩を感じてるのと、彼女が愛情深いからかな？としか思えないのですが、ジャクソン視点で観るととても感慨深い。

この映画は色んなものを信じ切れなかった男の話です。自分の才能やファン、そして最も自分を愛してくれる妻のことも信じられずに死んだ男の話で、それでも彼が残した曲だけは死なずに歌い次がれるという話なんじやないかな、と理解しました。