このレビューはネタバレを含みます
"リバースダイアリー" (2018)
・ロンドンフィルムアワード
最優秀作品賞(長編部門)受賞
・その他10を越える国内外の映画祭で絶賛
っていう部分に惹かれ鑑賞してみた
チャレンジしてるインディー映画が
大好きで積極的に観る方だけど
この作品を観終わったあとの感想に困った
基本ラブストーリーを展開しつつ
↓
ミステリー・サスペンスにもっていき
↓
スリラー・ホラーも詰め込んだ
そんな作品だった
起承転結の"転"(リバース)で
ストーリーを一気にひっくり返す
途中から作風を違うものに展開していく中で
ストーリーのタネ明かしをしていく
今まで映し出していた
登場人物のウラ側に潜む気持ちを
多角的にみせるという
チャレンジしつつ攻めている
転じてからは
女性キャラクターの
自己肯定感の低さが目立っていく
妹 綾の嫉妬心や攻撃性がやたら目立つ
一方でサスペンス調に変わってから
ストーリーのテンポを上げている
今までのフリが回収されていく
そしてストーリーは展開し続けていく
が……
正直どのキャラクターにも
入り込みにくい雰囲気がずっーーとある
入り込みにくい要因は
キャラクターはそれぞれ傷つきを抱えているはずが なぜか心情が軽くみえる
これは おそらく 演者の演技力の問題
そして
俗にいう
"うわべだけ"
キャラクターの気持ちが全然入ってこない
メインはおそらくラブストーリー
他に類をみないトリッキーな形で
ぐるっと一周回して最後には着地する
意欲的で革新的な作品だけど
沙紀が大切な人を亡くしたあとに
白石に抱く負のエネルギーがある
そこにもっていく唐突な流れに
ぜんぜん入り込めなかった
でも そういう作品と捉えるならそれはそれ
"リバースダイアリー" (2018) は
"アモーレ・ペロス" (2000)
"21g" (2003)
のような作品の群青劇が下書きにあって
『偶然性や運命の方向性を示していく』
ということ大切にしているそう
そこだけ捉えればカッコいい
挟み込んでくる
妹 綾のサスペンス・スリラー調も
メインストーリーにプラスαである
はずが
むしろ話の腰を折っている
ある意味 "美人局" を思わせるストーリー
殺人計画不発がもたらす不可解な展開
薬で殺せない 車の事故も起きない
色仕掛けも失敗
正直ドキッともしなかった
園田監督のインタビューでは
>基本的には何かを失ったキャラクターが、何かを得る。喪失から再生していくという話を描きたい
この発言を見聞きしたときに
"四月の永い夢" (2018)
"おじいちゃん、死んじゃったって" (2017)
が頭をよぎってしまったが
上記 両作品は心情の展開に深みと厚みがある
それはそれ これはこれ なので
他作品と比較すること自体が
大変失礼なことではあるけど
有名じゃない俳優が出てるとか
予算の制約とか
宣伝活動とか
言葉に表しにくい難があったんだろうけど
「これだけは絶対に観衆に伝えたい!」
ってメッセージがなくてボンヤリし過ぎてる
2回も観るエネルギーが生まれず1回で断念