滝和也

宇宙戦艦ヤマト2199 第七章「そして艦は行く」の滝和也のレビュー・感想・評価

3.9
「もうやめて…アベルト…」

スターシアの願い虚しく、戦いは続く。デスラーの一途な愛が虚空に響き、皆が力の限りに生と愛と平和を叫ぶ最終巻。

お待たせしました。最終巻です。ヤマトはドメル艦隊を破り、ガミラス本星へ。ガミラスとイスカンダルは二連星であり、ガミラスにとってイスカンダルは信仰の対象であり、不可侵なるもの。デスラーにとっては…愛そのものであり、スターシアの愛こそが全て。それさえあれば何もいらなかったのでしょう…。

帝都バレラスに突っ込むヤマト。衛星第二バレラスに逃れたデスラーは衛星の一部を帝都に落とさんとします!虚空を裂き、炸裂する乾坤一擲の波動砲。ガミラスとの和平を繫ぐ光の橋!

このシークエンス、旧作からかなり変更されています。ガミラスは星としての寿命が来ており、ヤマトは更に波動砲で火山脈を打ち抜き、ガミラス自体の崩壊に手を貸してしまう部分がなくなりました。そして古代のセリフも。「戦うのではなく、愛し合うべきだった…」監督さんは悩んだことでしょう。ヤマトがヤマトたる所以ですから。ですが、観客も時代も変わり、見せ方が変わりました。戦いを肯定するわけではありません。甘いかも知れません。ご都合かも知れません。ヤマトはあくまでも地球を守るため、自らの信じるものを貫きます。それ故イスカンダルからコスモクリーナーを得られます。波動砲を封印し…。

帰還の途につくヤマト。追う執念の鬼デスラー。ワープゲート内で白兵戦を仕掛けます。ここで真田さんのアレが出ます。こんなことが、あろうかとは言いませんが、まさかガミロイドの話がこのためとは…。さらにデスラーに「野蛮人が…」と言わせる三式弾。空間磁力メッキはなくなりましたが、説得力があるシークエンスになりました。

そしてヤマトは帰還します。高らかに、恋人たちの愛、隣人愛、兄弟愛、家族愛、愛する人との全ての愛を響かせながら…そして…

「地球か…何もかもが…みな懐かしい…。」
滝和也

滝和也