主演の浅野忠信が段々と老けてきて味のある中年男になった記念碑的作品。日本の中流家庭が抱える問題にメスを入れたシリアスドラマ。原作が重松清という所が意外。👔
脚本を書いた荒井晴彦の独壇場とも言える小市民と貧困層の対比や、邦画らしい粘り気のあるカメラワークなど一貫して地味で暗いトーンなのたが見応え抜群のドラマに仕上げている。🏙
虚と実の入り混じる現代社会の不安定さをジワジワと捻出した三島監督の演出にも好感が持てる。脇役のクドカンもイメチェンを図りふてぶてしい元夫を怪演しており、出演者が全員引き締まっている。とても実直な作り。
こういった問題提起の仕方は濱口竜介の『寝ても覚めても』や『ドライブ・マイ・カー』に近いモノがあるが、本作の方がソリッドで賞狙い・ウケ狙い的な要素が少ないのであざとさを感じない。正攻法な家庭劇であり一種のホラー作品とも言える。😱