緩やかさ

シーモアさんと、大人のための人生入門の緩やかさのレビュー・感想・評価

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音楽はどれもただ音楽で、ただ音だ。
音楽が大嫌いでなければ、各々が好きな音楽を折に触れ楽しめば良い。

世の中には音楽に真剣に向き合う人が少なからずいて、その人々にとって音楽と人生は分かち難く、ついには生が音楽そのものになる。


フィルムの最終盤、シーモアがシューマンの幻想曲を解説しながら弾くシーン、
彼の言葉もさることながら紡ぐピアノの音そのものに、より説得力があった。

彼は幻想曲を「ありえないほど美しい」と言った。

信仰と音楽についての議論の中で
「神は目に見えないが、音楽は目に見える。なぜなら譜面があるから」
と確信を込めて言った。

シーモアは現在の境地から、嘘偽りない本当のことのみを極めてシンプルな言葉で語っている。

教えるというより、彼自身がなんの疑いもなく信じていることを提示するだけで事実がすっと入ってくる。

邦題は人生入門となっているが、
私にとっては入門というより結論、
人生云々ではない、音楽の正体と感じた。
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