かくがね

ワンダー 君は太陽のかくがねのネタバレレビュー・内容・結末

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

めちゃくちゃ良い映画でした。
オギーも、彼の家族も、スクールの生徒や先生達も、みんな良い人だ。

良くあるような、障がいをもつオギーが成長していく話ではなく、彼を中心に周囲の人間たちの抱える悩みにも、当人の視点でフォーカスされていく仕組みになっているのが巧みな構成だと思います。
障がいを持っているオギーとは違うけれども、周りの人にもその人なりの悩みがあるという、障がいの有無を特別にしすぎない構成になっていると感じました。
障がいを持っている人に対してどこまでの配慮が必要なのか?ということは、自分自身も悩まされることですが、この映画はそこに対するベストな描き方をしているように思えます。

オギーが姉のヴィアに「ヴィアのイヤな一日と一緒にしないで」と放ったセリフは凄く鋭利で、彼の境遇は分かるけどそれはズルいし酷いよと思います。
障がいの有無は関係なく、誰の悩みも辛くて大変でそこに違いはないというのが、群像劇スタイルで描かれることで浮き彫りになります。
ただそれだけでなく、障がいを普通に扱おうと努力していても、どうしてもままならない難しい部分もあるという苦々しさもあるかもしれません。

「我々の見る目を変えなければいけない」
このセリフはとても心に残りました。
オギーも確かに成長したけれど、それ以上に周囲の人が見る目を変えていったことで、オギーがどんな人なのかというところに触れることができたのだと思います。
そうして周囲の人を変えられたのも、オギーが良い人だったからで、障がいの有無は関係なく嫌なやつはいつかひとりになってしまうというのをイジメの中心人物だったジュリアンが物語っているようでした。
親の介入によって結局彼は学校に戻ってこないため、他の生徒のようにオギーと仲直りすることはないのも、現実の厳しさというかそう綺麗事だけでは進まないという部分なのかなと。
でも校長の言葉を受け取ったことで、最後の最後で大切な事に気付くことができたんだろうなと、彼が謝ったところを見て思いました。

本当に誰にでも勧められるし見てほしい映画でした。
ただ感動する映画というところでは終わらない、見た人の何かが変わるような映画だったと思います。
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