fonske0114

ワンダー 君は太陽のfonske0114のレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
4.5
外見に特徴を持った少年(小学五年生)が通常学級に通うようになり、そこから巻き起こる日常を、学校や家族との関わりで描くヒューマンドラマ。

学校と家族、それぞれの生活がリアルに描かれ、日常そのものが日々出来事に溢れ、人の心がその度に揺れ動くことを描いた素晴らしい作品だった。

登場人物が繊細に描かれるため、どこかに感情移入でき、生活の中の残酷さや美しさが描かれ随所で泣いていた。『アイアムサム』『コーダ 愛のうた』『ペイフォワード』など家族や子供のヒューマンドラマが好きな人に特におすすめの作品。


以下ネタバレ感想を。


私は『ルーム』が非常に好きな作品で、そこで名演を見せたジェイコブ・トレンブレイ君のこちらの作品も非常に評価が高いことを耳にしていた。

細かい設定は知らずとも私好みの作品と思い、惜しくて中々見られなかったが満を持してみたところやはりとても良かった。


この作品では学校生活と家族との生活がメインで描かれる。学校でのいじめなどの辛い現実と家族の温かさの対比が非常にわかるためとても心苦しくなる。子ども故の純粋な嫉妬やからかいという非常に厄介なもので、「親友と思っていたら校長命令だった」など心が引き裂かれるシーンがあった(「ハロウィンは外見を気にされない」というところは、「確かにそういう見方もあるのか」ととても辛かった)。


私個人として良かったのは、姉の描き方である。親を弟にとられる、という姉の存在が、この作品に深みを与えたと思う。
こういった作品の場合、本人の苦悩と周りの変化、ということは描かれるが、「当たり前に味方であった存在」のその「当たり前の裏側にある努力や我慢」というものも現実には存在する。姉自身が「お姉さんだから」と我慢しながらも本当は親と一緒にいたい、というどうにかしたいけどどうにも中々できないというこの複雑さはとても心奪われた。


主人公自身と周りが変わる終焉は非常に美しく、ラストの語りは私自身感じている「誰もが一人一人大変で、生きているだけで素晴らしい」というものと共感を感じ、そうした作品に初めて出会い、印象的で驚きもあった。

一つだけ好みとしては、私自身は「主人公が行動し物事が動いていく」作品が好みなので、どちらかというと「主人公と関わる周りの人々が変わっていく」印象を持った今作はもう少し何かを見たいと感じた。
fonske0114

fonske0114