ma

ワンダー 君は太陽のmaのレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
4.8
子供であることは大人であることよりずっと大変だ。剥き出しの感情と好奇心は残忍に他者を傷つける。子供だから仕方ない?もっと大変な目に遭ってる子がいる?そんなこたぁ知ったこっちゃねえよ!痛いもんは痛いし苦しいもんは苦しいんじゃ!
他者からの心ない言葉と行動によって人知れず全身傷だらけアザだらけになりながら坂道を転がり落ちるように大人になった諸君、今すぐこの映画のDVDとプレイヤーを持ってデロリアンに飛び乗ろう。そして枕に突っ伏しているおちびさんにハグをして、ポップコーンとコーラを用意して一緒にこの映画を観ようぜ。

子供である事の何が大変かというと、想像力と思いやりの欠如だ。これこれこういう事を言われてこういう事を〇〇さんにされたから悲しい、辛い、死んでしまいたい!そういう時、決まって “何故相手がそのような行動に出たのか” を考える余裕は傷ついたおちびさんには無い。何故って、やられた事で自分の心が悲鳴を上げていてそれどころじゃないからね。勿論〇〇さん(本作で言うジュリアンたち)にどんな事情があったとしてもその人のやった事は決して許される事ではないが、傷ついた自分を納得させ傷に絆創膏を貼る手助けにはなる。

「物事には二面性がある」
校長先生がそう言ったように、私達は月の裏側を直接見ることは出来ない。地球の上に立っている限りは絶対にその二面性を知ることが出来ない。自分がどれだけ傷ついてどれだけ悲しいか、自分を傷つけた相手がいかに酷い人間か、そればかり考えてしまう。大人ですらそうだ。
だけどほんの少し想像力を働かせてスペースシップで月の裏側を覗いてみると、悲しむまでもなかったなんて事はよくある事だ。
スペースシップを飛ばすのは相手の為にするんじゃなくて、自分の心を守る為にすることだ。
自分を必要以上に責めるな、誰がなんと言おうと君は最高だ! 誰しも不安定で未完成な心を持っている事を思い出せ。互いに完璧じゃないから人とのコミュニケーションはとびきり楽しいんだ。いつか1人ぼっちで宇宙飛行士のヘルメットを被っているおちびさんに出会ったら、是非そう声をかけてあげたい。
ma

ma