ちゃんしん

ブラック・ファイル 野心の代償のちゃんしんのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

現実社会。

こんなに気分が悪くなる作品はあまりない…。
逆説的に見せることで痛烈に現実社会、人間社会を批判しているのだろう。

病気を治す為といいながら、利益の為に誤魔化す製薬会社社長。
法の下の正義の為といいながら、利益の為に悪人を守る弁護士会社社長。
正義を守る為といいながら、出世と保身の為に犯罪と隠蔽を繰り返す主人公。
命を守る仕事をしていながら、自分の未来を守る為に殺人を犯そうとする妻。
かまってちゃんの度が過ぎて夫を裏切る製薬会社社長夫人。
友達を守る為といいながら、ピストルを渡してしまう親友。
弁護士会社社長に雇われながら、復讐の為に主人公を利用する殺し屋。

どいつもこいつもである。

本当に嫌になってしまうほど、正義というものがない。
人間という生き物は、自分自身の為ならなんでも有りということだ。
全員が全員そうではないとは思うけど、追い詰められたり、どうしようもなくなればそうなってしまう人は多い。

最後のシーンで、妻が助けることが出来た会社社長夫人を見殺しにしたことを告白したが、主人公と妻は何も無かったことの様に振舞い続けた…。

これが現実社会、これが人間社会。

本当に胸糞悪い、後味が悪い作品。
でもそれこそがこの作品の狙いなのだろうから、そういう意味ではよく出来た作品。
ちゃんしん

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