つかれぐま

未知との遭遇 特別編のつかれぐまのレビュー・感想・評価

未知との遭遇 特別編(1980年製作の映画)
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18/2/27@新宿ピカデリー#6

【2/3:価値観の反転】
爆音映画祭にて40年ぶりの劇場鑑賞。椅子も震える重低音が響くラスト30分の祝祭感。

オリジナル公開から数年後。
再編集&追加撮影を望んだスピルバーグに映画会社は一つの条件を付けた。それはクライマックスで「UFOの内部を見せること」。この追加シーンが特別編そのものの賛否を分けることになる。

まず自分の意見を述べれば「ない」ほうが良かったと思う。それがないオリジナルには、代わりに自分で想像する夢があったし、新撮の内部映像は何となく浮いていた印象。外観の神秘性・神々しさが足らなかったような。

一方で賛成派も。
主人公・ロイはダメ男を通り越し、後半はもはや「狂人」だ。そんなくたびれたオッサンが異星人から一粒のタネとして選択される。これは地球的価値観の反転に他ならない。マザーシップがわざわざ180度反転して着陸するのも、この暗喩なのか。「ダメ男が勝者へ反転する」その祝祭表現として(UFO内部描写は)素晴らしいと、ライムスター宇多丸氏は「特別編」を称賛する。なるほど慧眼だ。

「君がうらやましい」
ラコーム博士が別れ際にロイにかけた言葉。ここに込められた意味が本作を読み解くカギかな。
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