ろく

ヤンキーヘルパーのろくのレビュー・感想・評価

ヤンキーヘルパー(2011年製作の映画)
3.3
このころの城定を初期城定と呼ぶ。

でこの初期城定と今の城定の大きな違いは「映画を進めるために安易な方法をとるか否か」と思っている(あ、これ僕が勝手に思っているだけですけどね)。

いや初期はなんだかんだ言ってもVシネの域は出ないの。それは安易に「事件」を起こし映画をすすめようとするからなんだ。それは残念ながらこの作品でもそうで、よくある日本映画やハリウッドに見られる問題―人を殺せばそれなりにドラマチックになるーと言う問題なんですよ。それがどうも僕には納得いかないんだよなぁ。そこで殺さなくてもいいのに殺してしまうことによって「事件」を増やす。それは単純すぎるシステムなんではないかなと。

と文句ひとしきりだけどそこまで悪い作品ではない。おなじみの多幸感は健在だ。何よりも城定の作品を見ると元気になる。それは「LOVE&SOUL」や「デコトラギャル奈美」なんかと同じ。だから疲れたときにはついつい城定作品も見てしまう。

そして意外と思うかもしれないけど城定の作品には倫理がある。道徳は世間の要望に応えるが倫理は自己の生き方を求める。僕らに必要なのは道徳ではない(僕は世間的な「正しい」ことを語って他者を攻撃する輩が大嫌いだ)。この倫理を見せてくれるのは嬉しい。そしてそれは「自分に正しくあれ」という倫理だ。道徳は視点を他者に求めるが倫理は視点を自己に求める。だから「誰も見てなくても」正しく生きている城定作品を見ると(やっぱり)少し元気になるんだよ。

※追記 GWは足の骨折のため、どこにも行けなくなってしまいました(でも映画館くらいは行く予定)。だからここぞと城定作品を見ようかと。すいません、ろくでなしレビュワーで(謝ればいいと思っているやつ)。
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