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信仰と冒涜の狭間のtetsuのレビュー・感想・評価

信仰と冒涜の狭間(2014年製作の映画)
3.6
兄がこの春から上京してしまうので、
一緒に映画を観れるのも今のうちだと思い、折角なので、宗教関連の本作をセレクト!

大学生になったキリスト教徒の主人公。
彼女は進化論の授業を受け、
これまで正しいと思っていた自身の宗教観が揺らぎ始めているのに気づき...。

キリスト教と進化論が対立するお話。
序盤の展開は、
神の存在証明をテーマにした映画
「神は死んだのか」に類似していたが、
その後の展開は意外で、
ラストもしっかり決着をつけてくれるため、
兄曰く、「神は死んだのか」より、
断然こっちの方が説得力があったとか。

僕自身はキリスト教徒ではないし、
進化論もある程度信じているので、
最初は、何故そこまで、
人類の起源が神なのか、生物なのか、ということに登場人物たちが固執しているのかよく分からなかったが、
キリスト教では、
神が起源ということを信じないということは、信仰を否定したことになり、
地獄に堕ちること(←死ぬ以上に恐ろしいこと)を意味するわけで、
生物学者ならば、
主張を曲げてしまうことは、
事実を否定することになる、
という説明を兄から聞いて、
それぞれが簡単に意見を変えられないことが分かり、納得した。

映像の質がテレビ映画っぽかったり、
結局、キリスト教にバイアスがかかってしまうのは少し違和感があったが、
終盤のアツい展開は素直に面白かったし、多様な意見が取り入れられるべきアメリカの教育において、ある疑問点を指摘した結論も良かった。

ところで、ドイツの学者"マックス・ウェーバー"が残した言葉で、
"神々の闘争"
というのがある。
これは、
宗教の絶対的な価値観が衰退してきた時代に、多様な価値観が交錯するようになった状況を指すらしいが、
まさに、本作の状況は"神々の闘争"と言えるかもしれない。

「和を以て貴しとなす」という聖徳太子の言葉がピッタリの日本では、周りの意見に合わせることが過剰に求められがちだが、それは必ずしも解決の方法になるわけではなく、相手の意見を理解するためにも、今作のようにぶつかることも大切なのだと思った。

世界各地では今も戦争が起きている。
シリア内戦やエルサレム問題など、
その根本には、それぞれの宗教観があって、宗教に詳しくない僕は、
まず、それぞれの価値観を理解することから始めようと思った。

というわけで、
ちょっと、お堅いレビューになってしまいましたがw、
本編は割りとライトな作りになっているので、気になった方は是非!!
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