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ちょっとの雨ならがまんのblacknessfallのレビュー・感想・評価

ちょっとの雨ならがまん(1983年製作の映画)
4.5
公開初日はどんな映画も混むから避ける。ゆったり観たいから1週目以降に行くことが多いんだけど、これはそんなこと言ってられないぐらい観たい気持ちが強かった。なので初日の1回目に行った。

日本のパンクの始りは東京ロッカーズ周辺のあのバンド群なのは間違いなくて、バンドをやってた頃に先輩のパンクスに聴かなきゃダメだと言われたので聴いたけど、まったく理解できなかった笑
フリクションもMr.カイトもアーティスティックで独創性あるけどパンクの系譜として捉えることはできなかった。
おれにとっては、てか、実は今の日本のパンクスの大半もそうだと思うんだけど、ルーツと言えばこのドキュメンタリーに出てくる。ガーゼ、ギズム、カムズ、エクスキュートだと思う。要するにハードコアに触発されて出てきた80年代初頭のバンド達。

まさにその日本のハードコア黎明期を鮮明かつ克明に記録したと名高いこのドキュメンタリーが34年ぶり、しかも未公開映像を追加しての公開と聞いたからもう1日1分1秒でも早く観たかったんすよ笑

舞台挨拶で監督も言ってたとおり、デビュー作てこともあり構成や編集にけっこうなアラがあるんだけど、それを補ってあまりあるレジェンド・バンドの若さと生々しいパンションが炸裂したライヴ・シーン。バンドマンだけじゃなくパンク・シーンに出入りしてた無名のパンクス達の当時の時代性を伝えるインダビューでの証言等、とにかく貴重。大げさになるかもだけど歴史的シークエンスの数々に知的好奇心とパンク魂を刺激されまくりで大興奮&大満足😀

色々興味深いとこあったんだけど2つだけ。
インダビューの中でハードコアについてそれまでのパンクとの違いは?て問いに。「初期パンク」とは違い~て答えてる人が数人いて、まだ80年代初頭のパンクが生まれて10年経ってないこの時期にすでに「初期パンク」て言葉でオリジナル・パンクを定義してることに驚いた。
初期パンク、または初期パンなんて言葉が浸透するようになったのってせいぜい90年代入ってからだと思ってたから。
だからこの時期の前後に急激にパンクの進化、深化、激化が進んだんだと思った。言われてたことなんだけど、映像でしっかり裏付けられた。そのことに対する鳥肌モノの興奮が(*゚∀゚)=3

それと「あなたがもっとも平和で充実してる時は?」て問に「そうだなぁ、寝てる時と金貰う時だね」て答えたパンクスがいて、あまりに自分と同じなのでリアルで膝を叩きそうになるぐらい共感した笑
しかも、このパンクス、自己を厳しく律するストイシズムと完全なアンチ商業主義を信条とし、現在も精力的に活動中の日本のみならず世界的にもカリスマ的人気があるハードコア・バンドGAUZEのシンさんなんだよ!イメージとかけ離れ過ぎててビックリ笑 おれのような一ファンにはめったに見れない(実際見たことないし笑)人間的愛敬みたいなものを垣間見れた感動はデカイよ笑

ハードコア好きな人は絶対に観てほしいな。もうね、発見と興奮の嵐だから。タイムマーシンというか、ジュラシック・パークに行った感じだよ笑
ソフト化の予定はないと言ってたから、この機会を逃さないでほしい😬

日本に生まれてよかったと実感できることがドンドン少なくなってきたご時世下で日本に生まれてよかったと、厳密には日本のパンクスでよかったと思える気分になれた😀
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