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古都のkoheiのレビュー・感想・評価

古都(2016年製作の映画)
3.8
《小さな世界から大きな世界へ》

完全にキャストに釣られて見に行った。あとは身近な京都が舞台だったので。公式サイトより、«「美しい京都の自然を遺し守り、後世にいかに引き継ぐのか」という川端康成が生涯かけて抱いていた想い»は、見事に若い世代へ継承されたのではないだろうか。
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今作の舞台は京都とパリで、どちらも芸術が光る街。昨今その形態や町並みを維持していくのは難しいというが是非とも残していって欲しい。先日ロンドンに行った時、ビルがほとんどなくて美しい景観が維持されていることに感動した。日本の都会なんかはビルだらけで面白くないけれど、京都に行くと日本もやっぱり美しいと思わせてくれる。

そんな「日本の中で1番日本らしい景観が残る場所」を維持していこうとする大人たちの思いと、それを受け止めつつも葛藤する若者たちの思いをうまく描ききったのが本作。若者が、小さな世界から大きな世界へと出ていく際のありふれた悩みと葛藤が美しい舞台を背に描かれる。

橋本愛は古風で日本らしいのが合ってる。『リトルフォレスト』でも葛藤と悩みを抱えながら田舎生活してたなぁとか思ったけど、そういえば今作、画家を目指してフランスで勉強している成海璃子も『ハチミツとクローバー』のドラマで天才画家を演じていたのを思い出した。ともに日本人らしい顔立ちで美しかったです。

京都の学生ってあんなまさしく京都人みたいな喋り方するかなぁ?とか、呉服屋の仕事があまり映らなくてよく分からなかったり、ちょっと気になるところはあったのでフランスとの対比なんかも裏目に出ている可能性は無きにしも非ず。しかし物語には引き込まれたし、改めて京都にある日本の伝統の素晴らしさに気づけた。
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