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古都のERIのレビュー・感想・評価

古都(2016年製作の映画)
3.3
川端康成の原作で、日本では3回目の映画化のよう。今回は松雪泰子さんが二役で演じる。心を静かにしたいときに観るのがいい。原作を知らず実はあんまり期待してなくて、でも意外に(?)良くて自分と向き合う登場人物にグッと入り込んでしまった。個人的に京都もパリも大好きな街なので、しがらみも含めて引き込まれてしまう。

本作は主人公の千恵子と双子の姉苗子に娘がいて、変わりゆく時代の中の京都と、もう一つの古都パリが描かれている。進路に悩む娘の舞に、千恵子は20年前の自分を重ね思い出す。20年前の回想シーンも静かに美しくすっと入り込んでくる。千恵子と苗子。苗子は林業をしながら暮らしていた。雷のシーンは妙にドキッとする。

苗子の娘、結衣もまた自分を見失い、パリで絵が描けなくなっていた。葛藤する結衣を演じる成海璃子さんも、とてもいい。一方、千恵子の娘である舞は書道の先生にパリの個展への同行を誘われていた。初めて外から日本、京都を見てみる。日本舞踊を披露する橋本愛さんが本当に美しい。

京都が本当に美しく、錦市場や朝のお寺から聞こえる鐘の音。町屋の魅力。満開の紅葉。日本の所作や景色に見惚れてしまう。
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