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古都のTRBのレビュー・感想・評価

古都(2016年製作の映画)
4.0
京の都に居を構えて随分の時が経つ

長く住むほどに歴史と伝統が育んだ魅力に取り憑かれ、その裏で、京の都が見せるしがらみに自分はいつまで経っても異邦人(いりびと)なんだと気付かされる

そんな古都京都、西陣と北山杉を舞台に生き別れた姉妹が歩んだそれぞれの人生と交錯する思いを描いた川端康成の代表作

呉服屋の跡取りや古民家暮らしは見た目には優雅に煌びやかに見えるが、伝統を守ることへの矜持や重みが京都の移りゆく景色とともに情感豊かに描かれている

またその一方で、ヨーロッパの芸術に育まれたパリの都を舞台に華開く日本の美

あまりにも大きなモノを前に、進むべき道が見えなくなる人たちの心の葛藤と流れる紅葉の赤さ

紡がれる伝統と想い
失われつつある日本の美
留め置く苦悩
日本らしく儚く可憐に
何処までも美しく

お金や欧米的価値観で失われつつある日本の美意識と矜恃を今一度繋ぎとめる作品。

グダグタと書いたけど、凄く綺麗な作品

日本人として、この美意識は忘れずにいたい

パリは初めて行った海外
聖堂の静寂さや、洒落者が闊歩する華やかさ、色んな芸術に触れ、初めての異文化に触れて帰った時、より日本が好きになっていたので、凄く共感が出来る

やっぱり京都が好き
西陣に住むけど機織りの音は聞こえない

涙が出るほどに美しく
哀愁漂う可憐さに満ちている

エンディングまで粋
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