きの

プルーフ・オブ・マイ・ライフのきののネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

天才数学者の話、と思いきや精神を病んだ人間を介護する娘の苦悩の物語だった。題材こそ《数学者》ではあるけれど、作品としては《家族介護》の趣きが強く、決して他人事とは思えなくて引き込まれた。

精神を病んだ父に五年間付き添い見守り続けて、父親への情と数学者としての葛藤と介護者としての精神的疲弊に板挟みにされたキャサリンの気持ちをおもうと胸がつまる。

そんな父の死に動揺しているキャサリンに対する姉の態度は、あまりにも無神経で恐ろしくなった…(現実的なのかもしれないけれど)もっと妹を労ろうよ…
壊れていく親とずっと一人で向き合うことは並大抵のことじゃない、不安定にもなる。彼女の孤独が掬われる結末で本当によかった。


好きな場面はバンドが“虚数”をパフォーマンスするところ。あの瞬間、あの静寂だけはキャサリンの心に寄り添っているようだった。
きの

きの