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焦がれる鼓動のharunomaのレビュー・感想・評価

焦がれる鼓動(2015年製作の映画)
2.3
DVD「過ぐる日のやまねこ」に収録されている短編映画(2015)
『小さな恋のうた』や「グッド・ドクター」の2話にゲスト出演していて最近気になっている山田杏奈ということで見ました。10分です。

カメラはEOS C300、スタンダードサイズでなおかつDVD画質のためか、16mmの映画のような印象をうける。カット割りは的確で90度、180度、オフスクリーンと断片、アクションつなぎ、ポン寄りもあり十分におもしろい。中学生くらいの少女二人の、存在論的なショットもいくつかあるにはある。
ファーストショットは、ジャージをまくし上げて聴診器をあてられる(鼓動を聞く)胸のアップ。あるいは女の子同士で手の脈をはかったり、ラストシーン夕方の湖のボートの上で目をつむり互いの両の手を黙って握りつづける...ほか目隠しゲームやら、廊下を走って逃げたり、女の子二人乗りの自転車なりと...(背中から入るというのはよき。)やりたいことはわかるが、所詮は頭のなかのモチーフであり、相米的な身体と映画の運動、メメント・モリな10代の関係性までは、まぁ行かない。焦がれませんでした。
『まく子』もまた「身体のない相米慎二」というダウナーで形骸化された思想にみえ、思春期の性など明文化された形式の内にしかなく(作家が安全に取りあつかえる範疇の内)『くじらのまち』のシネマの身体性はそこできえる。この作家の人のよさは口当たりはいいが、所詮ルノワールに到達しえないのなら、わたしは躊躇なくフィンチャーを選ぶだろう。映画を撮ることは、人のよさや道徳とはまったく関係がなく倫理の問題であり、世界に対するアティチュードの領域にあるとあらためて想う。
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