HAYATO

ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦のHAYATOのレビュー・感想・評価

4.1
2024年12本目
男の夢が詰まった『フローズン・タイム』のショーン・エリス監督が、15年もの歳月をかけて作り上げた戦争映画
第81回ゴールデン・グローブ賞で『オッペンハイマー』のキリアン・マーフィが男優賞(ドラマ部門)を受賞した記念に、彼が出演する映画を鑑賞。
『ベルファスト』のジェイミー・ドーナン、『ザ・ウォーク』のシャルロット・ル・ボン、『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』のトビー・ジョーンズらが共演。
第二次世界大戦下、ユダヤ人大量虐殺の実権を握り、その冷酷非道さから「プラハの屠殺者」と呼ばれたナチス親衛隊の大物幹部・ラインハルト・ハイドリヒの暗殺を決行したエンスラポイド作戦の模様を描いた作品。
ハイドリヒは、ドイツの政治警察権力を一手に掌握し、ヒトラー、ヒムラーに次ぐナチス第3の権力者であった。
本作は、ハイドリヒ暗殺計画を企てたイギリス政府とチェコスロバキア亡命政府によってヨゼフ、ヤンらパラシュート部隊がチェコ国内(敵地)に送り込まれるところから始まるため、序盤から緊張感がとてつもなく、最後の最後まで切羽詰まった状況が続く。
キリアン・マーフィ演じるヨゼフは、悲しみと怒りを目の奥に秘めているような人物で、タバコを吸う姿がめちゃくちゃかっこよかった。
やっとの思いでハイドリヒ暗殺を成功させたのにも関わらず、ナチスの壮絶な報復によって罪なきチェコ国民が大量に虐殺されてしまったことを知った時の彼らの心情は、察するにあまりある。
終盤の教会で籠城するシーンは、映像的な迫力も申し分なく、カタルシスを感じる他のアクション映画とは違うひたすら絶望感を抱かせる描写が印象に残り、圧倒的に不利な状況の中、1秒でも長く抵抗しようとする姿に胸が痛んだ。
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