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東京喰種 トーキョーグールのTSのレビュー・感想・評価

3.5
【ただの化け物映画ではない】75点
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監督:萩原健太郎
製作国:日本
ジャンル:アクション
収録時間:119分
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2017年劇場鑑賞56本目。
あまり評判は良くないですが僕は良い部類に入ると思いました。原作未読。リード文通り、ただの化け物映画ではないと感じました。喰種という、人間を喰らうことでしか生きていけない彼らは人間社会から排除されたマイノリティそのものであり、非常に考えさせられる映画でした。原作を読んでいたら辛口になってしまうため、原作未読の人の方が楽しめる映画なのかもと思いました。
また、傑作とまではいきませんが、今作を見て原作の持つパワーを感じ取りました。気になり帰り道に1.2巻買ってしまったくらいです。

人間社会に密かに住み着く喰種。彼らは人間を食べることでしか空腹を満たせない。彼らに捕食される事件は数知れず。彼らを捕獲して抹殺することを目的としたCCGはとある喰種を探していくのだが。。

人間と天敵が一つの世界に存在するというプロットはありがちですが、その天敵の姿が完全に人間であるというのは興味深いです。人間の天敵、すなわち喰種は戦闘時に赫子(かぐね)という触手のようなものを出す、目が赤い、そして人間を食すということを除けば人間と何ら変わりません。なので、人間社会に喰種が普通に紛れて生活をしてるのです。しかし、彼らも人間を食さなければ生きていけない。都合の悪いことに、水とコーヒー、そして人肉以外の食べ物は完全に受け付けないそうです。とある喰種が言うには「馬の糞を食べてる気分」だそう。慣れた喰種は、人間に喰種と思われないためにも、平然とした顔で会食をしたりしますが、その後は猛烈な吐き気に襲われるようです。

かくして人間と喰種の食われるか殺されるかのせめぎ合いが日常的に繰り広げられるのですが、どうも今作を見ているうちに、喰種が完全に悪い存在とは思えないようになってきていました。むしろ、喰種はマイノリティであるため、人間から抹殺さている身でもあるのです。彼らは生きるために人間を食べなければならない。そこに善意も悪意もありません。かたや、人間側も、自分たちは食べられるという危機感を抱いているため見つけ次第抹殺します。まさに弱肉強食の世界。どちらが正義でどちらが悪だと決めつけるのは無理なのです。CCGの亜門は自分のしてることが正義と疑いませんが、それは人間側からみた観点であり、平等な目線で見れば一概には言えないのです。むしろ、それを大義名分として見つけ次第喰種を抹殺するというのは倫理的にどうかとは思いますが、我々もゴキブリのような害虫を見つけ次第、場合によっては殺してしまうこともあるので偉そうに言える立場ではありません。そして、喰種に染まっていく主人公の葛藤。このあたりは非常に考えさせられる作品だと思いました。

CGやアクションシーンはやはり邦画の域を出ないといったところ。特に亜門が終盤に用いるクインケには笑わされてしまいました。どう見ても肉棒みたいなものでして、違和感ありありです。さっきまで筋トレを必死にしていたのに、戦闘になるとこの肉棒を振り回すのは明らかにおかしい(笑)原作を熟知している方からすると何てことはないのでしょうが、初見の方がこれを見ると笑ってしまうシーンでしょう。

物語の構造上、どうしても人間を食すということなのでグロテスクになってしまいます。カニバリズムを推奨しているのかと言われてしまいそうなほど、人間のその部位が多々映されるので、そういう描写が苦手な方は要注意です。とにかく、原作に興味を持たせるという点においては上々に成功しているものと思われます。原作が気になりましたし、これから読んでいきたいと思います。続編は、、清水富美加が出ていたし難しいかもですね。。
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