人肉を捕食することでしか生命維持が出来ない亜人種「喰種（グール）」とそれらを駆逐するための人間組織「CCG」の戦いの物語。特殊能力による戦闘だけではなく、攻める側にも守る側にも主張があり、不幸な出来事により半喰種となってしまった主人公カネキの葛藤などとても奥行きの深いストーリーです。
「人気コミックの映画化」とは当然その再現性が評価軸の中心になると思いますが、それ以前の問題としてこの作品は多くの点で粗雑な印象を受けます。肝となる戦闘シーンもブルーバックが透けて見えてしまいそうな動きの悪いCGが目立ち、またキャスティングも主要キャラクター以外は知名度の低い俳優を並べています。もちろん今作が彼らの出世作になれば良いと思いますが、例外なく演技力の乏しさは否めません。
そもそもこの作品は原作序盤の喰種と捜査官 真戸呉緒との対決までのハイライトであり、物語が劇的にペースアップする以前の脚本です。故にこの作品は「東京喰種１」ではなく「０＝プロトタイプ」として低コストで制作された大予告編に過ぎず、「続編ありき」の姿勢が作品全体の完成度を著しく下げています。
ということで出家女優の動向も含め、次回作に期待したいと思います。
