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ノルマンディー上陸 英国空挺部隊・敵中突破のNMのレビュー・感想・評価

2.8
邦題や画像からは、戦争アクションをイメージするが、
おかしみもありながら文学的で、重みのある人間ドラマ。
海外版のポスターは、羊のいるのどかな大草原を一人の新兵がてくてく歩いているシーン。
この映画は終始自然が素晴らしい。戦闘シーンはなかなか出てこない。

最初のシーンからして好み。
本隊に合流するため、新兵ジョニーの属する隊は敵陣の正面突破を試みるが、彼を残して全員死ぬ。彼は一発も撃てず、息を潜めていることしかできなかった。
今まで彼をサポートしてくれた上官たちはもういない。敵が去り緊張が解け、悲しみとあまりの恐ろしさに子どものように泣き崩れるジョニー。
やがて気持ちを切り替え、遺体から装備をもらい、葬ってから、一人行軍を始める……。
それとは正反対に、降り注ぐ日差しと美しい緑の森と鳥たちの声、流れる明るく優雅なドイツのクラシック。だだっ広い草原、羊たちのたたずむのどかな風景。青空を穏やかに流れる雲。
余計に状況のマズさを強調する。

そして出会った若い敵兵、問題だらけの三人組、捕虜、現地住民、レジスタンスなどなど。

敵と言えども自分と変わらぬ人間ということを見抜くジョニー。純粋さゆえ、何度かピンチに陥るが、徐々に賢さと冷静さを発揮し、捕虜の嘘に騙されることも減っていく。

いけ好かないマーフィーも、完全に悪一辺倒ではなく、人間が一面でないことを感じさせる。
このJames Boylandも、ロック役Adam Woodwardも、よく見るとかなりの美男子。

捕虜SSの動きもうまい。まずは観察し、言葉が分からない振りをし、共感を示す振りをしてひたすら機会を伺い、チームワークを乱していく。そして、他民族のことなど何とも思わず、ましてやハンディのあるロックやファイリーのことも人間と見ていない。
Dobsonの演技が絶妙。優しそうに見せたり、悪そうに見せたり、戸惑ったり。
SSの思想も、ジョニーやファイリーには全く通用しない。邪悪なSSも、特にファイリーの無邪気さに段々とぐったりしてくる。

ラストだけはちょっと物足りない。

THE War “I knew”。一人一人の言動や思考の集まりで、世界の戦争への考え方というものが構成されている。
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