実に日本映画らしい作品です。
ダメ男に惚れる一途な女。
別れては戻り、別れては戻る。
戦時中の仏印(現在のベトナム)で知り合った冨岡とゆき子。
豊岡には妻がいたがゆき子と関係を持ち、妻と別れると告げて先に日本に帰国。
ゆき子も日本に戻り、冨岡を訪ねるが、
冨岡は妻と別れておらず・・・・
この後、冨岡とゆき子はいく度も別れ、
またよりを戻します。
ほんとにダメ男なんだな、冨岡は。
女癖が悪いし、仕事もできない。
惚れた弱みなのかそんな冨岡と、
いつまでも別れられない。
意地らしくもあり、哀れでもある。
戦後のうらぶれたホテル、
盛り場、汚く狭い長屋、どれも二人の困難な人生を象徴してる。
そんな二人が屋久島に渡り、
ようやく暗闇から抜け出せたかと思ったのもつかの間。
たった一日の晴天が二人の最後の灯りだった。
森雅之と高峰秀子。
どちらも奇跡的とも思える好演。
ラストの死化粧のシーンは、
日本悲恋映画の最高のシーンだろう。
暗くて重たい映画ですけど、やっぱりいい作品です。
名優二人のじれったい恋愛模様を愉しんでください。