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ザ・中学教師のKOUSAKAのレビュー・感想・評価

ザ・中学教師(1992年製作の映画)
3.8
国立映画アーカイブの企画上映『1990年代日本映画――躍動する個の時代』にて鑑賞。

いや~、これまたなかなか侮れない1作。90年代の邦画、ヤバい😵

自分の勉強不足を思い知らされる素晴らしい企画上映に、ただただ感謝です‼️

主人公の三上は「非情な現実主義者」という設定のようですが、自分はむしろ彼の教育にかける熱い思いと、深い人間味を感じました。

いわゆる金八先生的な、リアルな学校現場の実状とは程遠い「お涙ちょうだい」の更生ストーリー=ファンタジーが、メディア上で蔓延していたであろう時代に、この『ザ・中学教師』は強烈なカウンターパンチだったんだろうな~と思います。

もちろんこの三上というキャラクター自体にも、リアリティがないのではという反論もありそうですが、自分は少なくともこの作品上においては、長塚京三の「醒めた熱演」ともいうべき憑依ぶりによって、強い説得力を獲得出来たと思っています。

藤田朋子演じる純子の「自由という名の無責任」教師との対比もすごく効いていたし、出口の見えない閉塞感が蔓延している職員会議のワンカット演出も冴え渡っていました。

イジメを受けている祐子(三上の長女)が、物置の上から実際に飛び降りさせられるシーンとかハッとさせられましたし、今なら女の子にこんな無茶な演出を強いることはないやろうな~と思いつつ、この時代だからこその刺激的でリアルな映像に目を奪われてしまいました。

三上の「死んだ人間を教育することはできない。生きている人間を指導する方が重要だ」という言葉は、単純な二律背反を越えた重さを感じて一番心に響きましたし、あくまで生徒の「ルール厳守」と「自治」という教育方針を貫く三上が、駅伝大会の実現を主張し、クラスの皆が一丸となるクライマックスには涙が止まりませんでした😭

そして、そんな熱い感動のあとにも普通の日常は淡々と続いていくんだということを示すラストシーンに、三上の戦慄させられるほどストイックな「強さ」を感じて、他の映画では味わえないような余韻が残りました。ホントに傑作です‼️

追記:三上の次女役の子、さんま大先生に出てた「きーちゃん(有田気恵ちゃん)」に似てたけど違うんかな~。クレジットでは確認できなかったので、気になってます😅
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