イチロヲ

ひと夏の秘密のイチロヲのレビュー・感想・評価

ひと夏の秘密(1979年製作の映画)
3.5
薄幸な人生を送っている家出娘(原悦子)が、故郷の射的屋で働いている青年(田山涼成)との交流を通して、過去の殺人事件との関連性を推理していく。犯罪推理劇をトロピカル・ムード満点に描いている、日活ロマンポルノ。

頭でっかちな元警察官(江角英明)を養父にもつ主人公が、住人たちの発言から矛盾点を見いだして、養父の実娘が殺害された事件の真相を掴んでいく。濡れ場をカットしてもミステリー要素を保つことができるのは、まさに火サスの先駆けといえる。

拳銃を突き付けて「撃つぞ!」と威嚇しながら強姦しようとするシーンが、今となっては完全に不適切な表現。しかし奇妙なことに、往々にして昔の映画は「不適切な表現」に映画的な面白味が集約されている。

登場人物では、保険金目当てで海中の死体を探そうとするカップル(渡辺とく子&錆堂連)が良いアクセントになっている。原悦子の浴衣の隙間からチラリと見える汗まみれの柔肌など、真夏の日本家屋ならではのエロスを堪能することができる。
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