不在

永遠と一日の不在のレビュー・感想・評価

永遠と一日(1998年製作の映画)
4.8
外から来た少年と、外へ向かう老人。
自分の本当の寄る辺を探す為に、永遠のような1日を共に過ごす。
そうして見えてくるのは、アイデンティティの拠り所が見つからなければ、どこにも居場所などない、という事実。
大事なのはその国の言葉が話せるかどうかではなく、その"言葉"に通う本当の意味を見つける事なのだ。

私たちが扱う言語は時制によって時間を直線として定義してしまう。
そして発話という行為自体に時間を要する。
つまり言葉を発した瞬間に、それはもう既に過去のものなのだ。
しかし、もしも時制を持たない言語があるとすれば、時の流れは円環となり、過去・現在・未来を同時に認識出来ることになる。
老人は最期にこの円環的言語を理解して、"永遠"の人生を愛し、死んでゆくのだ。
不在

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