マリリン

永遠と一日のマリリンのレビュー・感想・評価

永遠と一日(1998年製作の映画)
3.0
【おじさんと男の子】
◉1998年度カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞。
友達に起こされてこっそりと家を抜け出し、海に飛び込む少年。そして、寒々しいギリシャを背景に、何やら憂い漂う男性。主人公の過去と現在、そして回想が交互に行き交う。死を覚悟した彼のセンチメンタルさとノスタルジーさが違和感なく時空を超えていくので混乱しない。幻想のようだけれども、ファンタジーではないのが良い。
現実の世界では、少年たちが赤信号で止まった車に群がって窓拭きで小銭を稼いでいて、ギリシャという国の暗い側面を表現している。その集団の中で黄色いジャンパーを着た男の子はひょんなことから主人公と時間を共にするようになるけれど、ニコッと笑ったり、走って抱きついてきたり、まだあどけない子供である。彼は孤児として生きていく覚悟をしているかのように見えるけれど、主人公との出会いによって「大人に頼る」ことを知ってしまったらしい。一方、主人公もこの少年との出会いで抑えていたものが爆発する。おじさんが子供に「一緒にいてくれ!」なんてなかなか言えないのに、夜の道路で叫ぶ姿はとても人間らしいと感じた。
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