ただのすず

傀儡のただのすずのレビュー・感想・評価

傀儡(2017年製作の映画)
3.7


体温と痛み、それ以外は錯覚。


12年前、自分の恋人に起こった未解決事件を調べる為に里帰りする話。長崎。

トンネルを抜けた先は…って感じ。
冒頭のノスタルジックな始まりも、美しく悲しい終焉も良い。
バスの窓に映る、田舎の風景の色が異様に美しく、そこからまるで異界に旅立ってるよう。

犯人を探し出しても、死んだ人間は戻ってこない。
あ、という間に失われる命と体温。時間は巻き戻せず、どうにもならない。
悲しみと怒りと誰にもぶつけることができない遣り切れなさ、そういうものに自身があやつられる、自分を見失う、傀儡となる。
繰り返される食卓シーンに、あのラスト以外ないという幕引きが綺麗、こういう映画、好き。


脚本も書いている監督だと、話に纏まりがあるように思う。無駄がなくシンプルで美しかった。初監督作品なのかな、すごい。
また撮られたら、是非観たい。