イチロヲ

変態だのイチロヲのレビュー・感想・評価

変態だ(2015年製作の映画)
3.0
売れないフォークシンガー(前野健太)が、日常生活とSM倒錯世界のスパイラルに落ちていく。みうらじゅんが原案・脚本を手掛けているポルノ映画。安斎肇の初監督作だが、本人いわく「監督の椅子に座って、助監督の説明に頷いていただけ」とのこと。

主人公の人間像が、みうらじゅん自身の投影であることは自明の理。学生時代の乗りが抜けきれないままで妻(白石茉莉奈)との子育て生活に入ってしまい、その不安要素を振り払うべく、SM嬢(月船さらら)との虚構世界に没入していく。

映画単体としては、凡庸かつ平板な印象。主人公に感情移入できなくもないが、焦点が合わないままでの鑑賞を強いられる。みうらじゅんと親交のある人物、ユルキャラ等がファンサービス的に登場するが、映画的な楽しさとは直結していない。

雪中における演者の体を張った芝居と、アダルトグッズを武器にした熊との格闘は及第点。クライマックスに関しては、みうらじゅんの漫画の悪乗りを、そのまま実写化したような錯覚がする。
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