いずぼぺ

ヒトラーの贋札のいずぼぺのレビュー・感想・評価

ヒトラーの贋札(2007年製作の映画)
3.6
順応するか死か

原作者の体験をもとに語られるので、収容所仲間の心理描写が生々しい。
「生きてこそ」と仲間に説く主人公の思い伝わらず、絶望に命を吸い取られて行く者。
あまりに多くの命が軽く扱われ、祈りも願いもどこにも届かない。

冒頭とラストにカジノで湯水のように浪費する主人公。周囲が盛り上がるにつれ、苦しくなる。
劇中、素晴らしいタイミングで流れるのはタンゴだったであろうか。家族も愛する人も持たない主人公にとって、タンゴの動きのなかで生きる喜びを忘れないようにしていたのだろうか。
81