おじぇに

もずのおじぇにのレビュー・感想・評価

もず(1961年製作の映画)
4.0
心底きっつい話だったわー
これこそ正に後味の悪い映画。

女の「覚えがあるけどあえて向き合うことはしたくない感情」を無理やり直視させられるよなストーリー。共依存、愛憎…母子の互いを慈しむ気持ちは真実、肉親(距離感が不思議な他人)
だからこその執着、嫉妬、嫌悪感もまた本当。

私の好きな木下恵介『香華』に似てると思ったけど、結構違った。
私の中の澁谷実観は「トンチキでブラック、
予定調和は許さない」といったものだが、
今まで見た中ではダントツに正統派な印象。
脚本水木洋子だからあんな苦いのか…

「鼻緒でもすげてろ」や、女中入用のビンタ、傷口に唾をゴシゴシ、ガチの寝起きで外に飛び出す有馬…なんか印象的で残る場面が多々。みんなで楽しく喋りながらスパスパ煙草吸うとこすごくいい。久しぶりに会った娘と二人きりになるのが無意識に気まずい淡島とか、すごくリアル。

とりわけ、おかんの愛人が娘に色目を使い、あげく比較されて徹底的に侮辱される場面のサディスティックさといったら…全女震撼もの。(ぜんじょではない)

淡島千景が後半に進むに連れ、シミを増やされ、顔色をドス黒くされて行く一方、都会の美容室で働き垢抜けていく有馬稲子。お見合いの話が出ても若い方がいいと娘を選ばれる始末。ほんときっっついやり口。

この母親役が淡島千景(美女)だった事が唯一の救い。
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