ケンジモンデン

シュガー・ラッシュ:オンラインのケンジモンデンのレビュー・感想・評価

4.0
昨年の流行語大賞でノミネートされた「#MeToo」も然り
「女性」はいまや男性に屈服する存在ではないし
制度的にも社会的にも
「男女は同等に扱われるべき」という常識が出来上がりつつあると思っています。

なんでこんな書き出しなのかというと、
近年のディズニープリンセス像もその影響を大きく受けているから。
もしくは彼女たちこそが、いま全世界の女性を勇気づけているから。
そして、本作も紛れもなくその意志を受け継いでいるからです。


●変わりゆくディズニープリンセス

記憶に新しいのは「ズートピア」。
ウサギの女警官が男社会で奮闘するドラマは
ディズニーキャラクターとしてのこれまでの女性像を大きく変えます。
(厳密にはプリンセスじゃないけど)
王子様に助けてもらい結ばれる「ラプンツェル」から
コンプレックスを乗り越えありのままで生きようとする姉「エルサ」、
姉を助けるために奮闘し好きな男性と結ばれる妹「アナ」を経て
好きな男性とぶつかりながらも一緒に困難を乗り越える「ジュディ」へ。


そしてさらに「モアナと伝説の海」。
もはや王子様などいらない、
自分が運命を受け入れ世界を救うのだ、という
完全なるディズニープリンセス像の革命が起きます。
王子様候補かと思われたマウイは完全にサポート役。
弱い女性像はもう時代遅れ、
これからは女性が世界を変えていくのだ、という
強い意志すら感じられます。


というここ数年の変遷を経て、本作。



●ディズニープリンセスの真の姿


予告でも話題になった
ディズニープリンセスの控え室のシーン。
「自分の夢を歌うときスポットライトが当たるの」と語る先輩プリンセスを見て、
自分の「本当にやりたいこと」に向き合い
夢を追いかけようとするヴァネロペ。



だけでなく、実はこれまでのディズニープリンセスも
ただ王子様を待っていたのではなく
自分のやりたいこと、夢を追いかけ歌っていたのだと気づく。
これを見ると、
もはやこれまでのしおらしいディズニープリンセス像は
これまで女性が「演じさせられてきた」姿なのかと思いたくなる。
…いや、そうじゃなくて、
「いろんな女性がいていいんだ」ということかもしれない。
夢を追う女性も、王子様を待つ女性も。
カワイイひとも、カッコイイひとも。


プリンセスだけでなく、
BUZZTUBEの女社長
ヴァネロペが憧れる女性レーサーなど
さまざまな女性が登場することで
プリンセスを観に来たすべての女の子、
すべての女性に
新たな勇気を与えてくれる。





さらには最後のシーン、彼女たちにはもうひとつ見せ場があって、
「これが今のプリンセスなんだなぁ」と
変に納得しながら観てました。


※念のためですが
女性が強くあることには
僕は肯定派です。(^^)




ただ、逆に今回、
相方ラルフが非常に女々しくて辛い点は
見てて痛々しく感じる人もいるかも。
これは現実と一緒で、
女性の台頭と
その変化についていけない男心の象徴なんだろうと。
なので、ここには女性に向けての「(ラルフの気持ちも理解してね!)」
っていう秘かな願いもある気がします♪(´ε` )




そういう意味でも
新たな試みや仕掛けが盛りだくさんの本作。
テーマを抜きにして観ても
肩の力を抜いて観れる1本だと思います〜〜