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シュガー・ラッシュ:オンラインのarinのレビュー・感想・評価

4.8
ディズニーによるインターネット賛歌。

前作はゲーム賛歌だった。制作会社の異なるゲームの人気キャラが大集合していて、ここまでゲームに対する愛情を表明できるなんて、アメリカのクリエイターはすごいなあ! と当時思った。
ゲーム大国であるはずの日本では、押切蓮介の漫画「ハイスコアガール」がゲームへの愛情を惜しみなく表明しているのだが、アニメ化に際して揉めにもめた経緯があり、当時は悲しくなったものだ(現在は無事アニメ化され、先日最終回を迎えている)。

それはさておき、今作「シュガー・ラッシュ・オンライン」は、タイトルにも現れている通り、インターネットが舞台であり、ネットカルチャーをふんだんに取り上げ、インターネットを言祝ぐ物語となった。

エキセントリックなレースゲームキャラクターのヒロイン・パネロペと80年代の悪役キャラだが根の優しい大男・ラルフのコンビが、インターネットの世界に入り込んで冒険を繰り広げる。
賞金目当てに暴力的なレースゲームの世界に入ったり(見事なカーレースシーンがみられる)、アクセス数稼ぎにSNSに動画を投稿したりと楽しい描写が続く。
興味深かったのが、通信のしくみに則って世界設定されていること。Wi-FiからIPアドレスを振られ、パケットに入ってインターネットの世界に飛び込む。ネットの世界では実在のマーケットサイトの名前が多数出てくるし、怪しいリンクサイトやらウイルスやらも登場する。

話題になっていた、ディズニープリンセス、マーベルキャラ(アイアンマンからスタン・リー御大まで)、スター・ウォーズキャラの勢揃いは圧巻で、これが実現したのは、同じディズニーであり、この設定だからできたことだろう。「メリダ」は制作会社が違うという小ネタも忍ばせて置くあたり、油断ならないギャグセンスを持っている。

インターネットには正の部分もあれば、負の部分もあり、「オンライン」は事実を隠すことなく描く。だが、ルールを守っていれば、これほど楽しいツールはないのだ。ビバ、インターネット。

続きものではあるが、単体でも楽しく見られる。でも、前作を踏まえてみると楽しさ倍増だろう。予習のさいは、前作に加え、Rick Astley の「Never gonna give you up」のPV視聴をおすすめする。 これ、海外で有名な釣り動画だったんだって。へえって感じ。
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