こぅ

遅すぎた涙のこぅのレビュー・感想・評価

遅すぎた涙(1949年製作の映画)
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「こんなチャンスは二度と来ない
子供の頃からお金持ちになるのが夢だったの」

バイロン・ハスキン監督による、
【フィルム・ノワール】。


ある晩、友人宅へ向かう夫婦の車に、大金の入ったスーツケースが間違って投げ込まれる。
妻は金の亡者と化していき…。


突然舞い込んできた大金
に人はどう動かされるのか⁈という誰にでも投げかけられるシンプルなプロットが良い。

悪銭にオドオドする夫、アラン(アーサー・ケネディ)に対し、何とか手に入れたい妻、ジェイン(リザベス・スコット)は、強欲でしたたか。
しかもセクスィで色仕掛けまで使う手強さ。
機転のきく悪知恵、目的(金)の為なら殺人も厭わないファムファタの代表格だ!!

展開も
単純だろう予想を裏切るテンポある転がりが飽きさせない!
相対する人物が金の持ち主、ダニー(ダン・デュリエ)だけに留まらず、アランの妹、キャシー(クリスティン・ミラー)、そこに絡む謎の男、ダン(ドン・デフォー)の配置が抜かり無く、観る者の興味を持続させているし、
夫の安否は既に判明させているが、その捜索を引っ張って展開させて、それに伴う警察の存在(仕事)もしっかり描いているのも上出来。

終盤の
ダンの偽りが暴かれ、大金に繋がる 肝心なモノ を取り返すシークエンスは上手い!

夫が駅に預けた大金バッグを取りに行くジェインだが、、(アランの用意周到さに拍手)

ダニーは、
ジェインに浴びせた 往復ビンタ には先を期待させられたが、結構間抜けな男 で彼女の言いなりで振り回されっ放し。
泣きつかれて殺人用の◯まで用意してやって、、

全編通して間延びの無い展開が持続。

ただ、
エンタメ展開重視の為のご都合主義が散見される。

それが著しく露呈するのが、
ラストだ!

ジェインはついに◯◯した(勝った)。
どんなオチが待ちうける⁈

ここで明かされるダンの正体判明、
その真の目的とは⁈
そこに伏線がしっかりあったのは良き。
が、
何故、ジェインの◯◯◯が分かったのか⁈

悠々自適になったジェインが劇中一番輝いて見えた。


ラストは、
自業自得で、ファムファタ、ジェインに相応しかったな。
ノワール史上ベスト10に入るだろう悪女で、演じたリザベス(27)がハマっていた!

本作のロマンスで無理に締めようとするのは蛇足感(時代か)。
夜間のライティング不足は顕著で、何をしているか不明な箇所もあり。
が、内容的には及第点以上の面白いノワールと評価。


ビンタレベル★★★★☆
こぅ

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