爆裂BOX

サマー・インフェルノの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

サマー・インフェルノ(2015年製作の映画)
4.0
子供達のサマーキャンプを明日に控え、山奥のキャンプ場を訪れたウィルやミシェルら4人の指導員の男女。夜も更けてきたころ、突如一人が凶暴化し…というストーリー。
「REC/レック」シリーズに関わった製作者らが贈るスペイン製の感染者ホラーです。
山奥のキャンプ場を訪れた男女が突如凶暴な感染者と化し仲間同士で殺し合いを繰り広げるという「28日後」と「死霊のはらわた」を合わせたような感じのストーリーですが、序盤からフェイントを入れてくるのが面白いですね。目隠しをされて手を縛られた状態で森の中を走る女性とそれを木陰から見る怪しげな男や、怪しく不気味な雰囲気漂うキャンプ場の近くに不法占拠してる集団をだして田舎ホラーかと思わせたり、凶暴化した犬に手を噛まれて包帯巻いた手から血を流すウィルが凶暴化するかと思ったら、指導員の責任者でチャラいアントニオが凶暴化したりとちょっと予想を外してくる演出が面白いですね。
凶暴化した感染者は口から黒い液体吐きながら、デジタル加工された血走った眼など悪魔憑きを思わせる風貌で、ゾンビではないのでダッシュで襲い掛かるだけでなく言葉も喋りますし武器も使います。噛みついたりもしますが、直接的に食人するシーンはないかな。そして本作最大の特徴である凶暴化しても一定時間経過すると元に戻るというゾンビ漫画の「異骸」を彷彿させる設定が面白いですね。これによって正常な側も易々と感染者殺せなくなりますし、追う者と追われる者の立場がコロコロ入れ替わったり、正常に戻っても疑心暗鬼で攻撃したりと飽きさせない展開になっています。
こうなった原因もオカルト的な物なのかウィルスによるものなのか中盤まで中々掴めないのも良いですね。てっきり綿毛が原因と思ったらそっちだとは…原因も結構現実的な物でしたね。
主人公格の眼鏡青年ウィルが、何時の間にか家にいた見知らぬオッサンでも襲われてたら助けようとするくらい善人なのに、耳少し欠損したり噛まれたり、殺人者と疑われて足にドリル突き立てられたりと散々な目に遭ってボロボロになるのは可哀想すぎでした。足の治療してくれたミシェルが顔上げた拍子に顔ぶつけてメガネ壊れる所は製作者ウィルに当たり強すぎないかと思っちゃいました(笑)
そして本作最大の憎まれ役クリスティンは、見た目清純派のお嬢様っぽいのに序盤から文句とわがまま言いまくってて、事態が起こってからもその自己中ぶり如何なく発揮させて此方をムカつかせてくれます。立て籠もったキャンピングカーでとる行動には唖然。そうするだろうとは思ったけど…凄いクソっぷりだったけどそのおかげで一番キャラ立ってましたね。
森の中での追いかけっこもハラハラせさせますし、ミシェルがかかってきた携帯投げたらちょうど隠れてるクリスティンの傍に落ちるところは笑ってしまいました(笑)
終盤何とか惨事を未然に防いだ、と思ったら序盤に貼られてた伏線で大惨事になる展開も悪意タップリでしたね。ちょっと子供ホラーっぽい所も。
一目散に逃げだすクリスティンには笑いましたが、こちらも序盤に貼られた伏線で迎える末路はちょっとスカッとしますね。てか普通にキャンプ始まってもあの枝放置したままだから大怪我する子は出てきそう。
頑張ったけど報われずやけくそになったウィルは最後まで可哀想でした。
テンポも良く、最後まで予測つきずらくハラハラさせてくれる秀作感染ホラーでした。