クドゥー

攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3Dのクドゥーのレビュー・感想・評価

4.5
『生きている限り、世界の素子でしかいられない』

独立攻性公安部隊が日本に巣食う敵と戦うテレビアニメ「攻殻機動隊SAC」の劇場版は、電脳と義体によって人間以上に社会の在り方を問うてきた「第3の攻殻」の集大成にして、10年以上前の作品とは思えない慧眼に満ちたSFサスペンスアクションの最高傑作。

少子高齢化に対抗して国土強靭化を図るためのシステム「Solid State」ディテールが素晴らしく、特にゴーストの再利用を巡り官僚と代議士が対立する背景にテーマが隠されているが、個のポテンシャルを願うという結論にコロナ禍の一年でより一層の意義が感じられる。

2年間の個人的推論に則った捜査活動の果てに草薙素子が「SAC」を受け入れるラスト、これこそがネットの広大さに身を委ねていった「第2の攻殻」から決別した証しであって、いまは亡き「ORIGA」のしなやかでたおやかな主題歌に期待を煽られ余韻を抱く。



鑑賞記録
2021.05.09
イオンシネマ港北ニュータウン2
→今この時期にこの作品を上映することが映画館からの怒りの一撃。望遠カットが光学迷彩3Dなど物申したいことはあるが、社会的な意義が全てを超越してしまう。サウンドバランスは最高で劇場で聴く草薙素子には色気しかない。
クドゥー

クドゥー