むーしゅ

ある大邸宅の結婚狂想曲のむーしゅのレビュー・感想・評価

ある大邸宅の結婚狂想曲(2015年製作の映画)
3.1
 Ben AffleckとMatt DamonがプロデュースしているHBOのリアリティ番組"Project Greenlight"のSeason 4優勝者であるJason Mannの作品。原題は"The Leisure Class"働かずとも遊んで暮らせる金利生活者のことですが、日本語では有閑階級と言う言葉があるんですね。

 イギリス人のウィリアムズは上院議員のラングストンを騙すためにチャールズと名前を変えて近づいていたが、いつの間にやら彼の娘のフィオナと結婚することになり、本当のことが言えないまま結婚式前日を迎える。そこへ招待していないはずの本当の弟レナードが現れ、慌てたチャールズは友人のディーンだと隠すのだが・・・という話。結婚前日から当日にかけての1日の物語で、時間も90分と短いので結構サクッと見れます。なぜかアメリカでの評価がボロカスなので、期待せずに見ましたがそんなに悪くないです。

 先ず登場人物がそれぞれわりと個性的でした。花嫁の父を演じるBruce Davisonは「X-MEN」シリーズでケリー上院議員を演じているので知っていましたが、他はテレビドラマ系の役者が中心でなかなか見かけない顔ぶれにもかかわらず、結構いい味出しています。女優の皆さんが美人揃いでびっくりですが、中でも主人公のウィリアムズを演じるEd Weeksと弟レナードを演じるTom Bellがなかなか良いです。Ed Weeksは初めて見た俳優でしたが、右目が左目に比べて小さいのが原因か基本左眉毛が上がっている関係で、常に眉をひそめた顔つきをしており、今回の役にはぴったり。弟の出現を嫌がっているのが、セリフが無くても表情で伝わってきました。それに対し弟のTom Bellはただひたすらうざいです。こういうひっかきまわすタイプのキャラクターは匙加減が難しいですが、途中は完全に一線超えてます。つまり完全にウザいです。しかし終盤に向けて以外と他の登場人物が彼を上回るウザさを発揮し始めて、結果なんとなく好きかもという位置に落ち着きました。ちなみになぜかこんなウィリアムズとレナード兄弟の関係が、イギリス王室のウィリアム王子とヘンリー王子に見えてしまいそこもちょっと面白かったです。

 そんなひっかきまわす弟の出現だけでなく、彼の不良ぶりに憧れるおバカな花嫁の妹、ラングストン家を出て行った長女の帰宅など、幸せそうに見えても実は色々ある金持ち一家の裏側が暴かれていく前半はなかなか見応えありです。それに対し問題は後半ですかね、特に父キレるのシーンです。父にいつかバレることも、それに対し怒ることも想定の範囲内なので何も問題無いのですが、地下室へ行ってからがトンデモ映画。父の取った行動が全然共感できない、というか意味不明。その5分くらいのシーンさえなければ、すんなり最後まで見れたのになぁと残念な気持ちです。結末に関しても共感はしないですが、そもそも働かずとも暮らせる家庭で生まれ育った人たちの気持ち何て庶民にはわからないので、これはこれで好きです。しかも最後はEd Weeksの眉をひそめた顔だらけ。新種の"ミイラ取りがミイラになる"を見つけた気分です。

 ちなみに弟レナードを演じるTom Bellは「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」にも出演しているとのことで、いたっけ?と思ったらクリーチャーパフォーマーとしてPrasheeを演じたそうです。顔全く見えないけど見返そうかな笑
むーしゅ

むーしゅ