このレビューはネタバレを含みます
【dreadful sounds of strings】
何かを期待させる、闇を切り裂くような管弦楽器の叫びと、黒ずくめの衣装が物寂しさを増す、素朴で美しいフランス郊外。そこへ米国から戦後の国際交渉のため赴任してきた一家。
最後、成人した主人公の姿から、本当の父親が誰か分かりましたが…。
それ以前に、母親は夫への愛などなく、そもそも結婚願望もなかったようで家庭的ではない。それでいて妙に信心深く、母親も形式上の父親も何かと支配的。夫からプレッシャーを受ける度に子供に当てつける母親。親が不機嫌なら子も不機嫌。その環境遺伝子を引き継いだとは言っても、大人の女性に抱く少年の性的な憧れ、新しい土地に馴染めず、教区の人々や両親に反抗的な態度をとるといった行動は、独裁者の要素とするには弱すぎて、特別異常とは思えませんでした。3つ目以外は癇癪という程のものでもないと感じました。もっと手に負えない子供なんてわんさかいるし、もっと過酷な環境下でも立派に成長する人は沢山いるし。
辞める時に呪いを口にした老家政婦の言葉が少し不気味でしたが、結局何もなく?
時代はWW1終戦後の連合国間での協定期間。
敗戦したドイツの運命を勝利国が一方的に卓上で決定していく様と、子供の環境を親の都合で支配しようとする様を重ねようとしているのかなと考えましたが、どうも音楽負けした内容で、拍子抜けしてしまいました。