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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのyumikoのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

心臓外科医のスティーブン(コリン・ファレル)とその家族のお話。妻アナ(ニコール・キッドマン)は眼科医。初潮があったばかりの娘キムと弟のボブと豪邸で暮らしていた。

なんの説明もないが、スティーブンはマーティン(バリー・コーガン)という青年と親しくしていて、腕時計を贈る仲。ある日自宅にマーティンを招いて、家族ぐるみの付き合いが始まるが、その頃から子供達の足に力が入らなくなるという怪現象が現れ始める。

徐々に明らかになるマーティンの父親の死因。最初はスティーブンはその事で妻に嘘をついてるの。ん?となる。

腕時計をもらったら、子供たちへだけど、お返しをするマーティン。なんか行動の一貫性をここでなんとなく感じました。

徐々にストーカーのようにスティーブンの生活に入り込んでくるマーティン。スティーブンは疎ましくなり時間を取らないようになります。そんな中、「手短に」伝えられた衝撃の事実。
「あなたは私の家族を1人殺した。だから私もあなたの家族を1人殺す。誰にするか選んでください。」

やっぱりそういう事??という確信の一方、礼儀正しいマーティンの口調が、めちゃくちゃ怖い。

どんな手を尽くしても子供たちの容体は改善せず、本当のことを妻に打ち明けるんだけど、そこからがまた面白い。

どうにもならず、これは1人死ぬしかないと悟った家族は誰もが父親に取り入ろうとしますね。(そう感じたのは私だけ?)特に母親のアナの言動にはゾッとしました。あと1人産めばいいって!おい!

結局、ラストのぐるぐるバットは、もう、ちょっと笑えさえする。そう、私の中で、マーティンの被ったことの方が断然同情に値して、この家族には全く同情できなくなってる。最後まで飲酒して手術に臨んだこと、後悔してないんだもん。

「聖なる鹿殺し」って鹿は?と思ったけど、『アウリスのイピゲネイア』というギリシャ悲劇にちょっと似てるらしい。

ほとんど音楽はなく静かな会話。引きの映像がとっても印象的。特にエスカレーターを上から見るシーン。

マーティンを演じたバリー・コーガンの礼儀正く、静かに淡々と話す感じが不気味さ倍増で、素晴らしかったと思います。

面白かったー。
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