アキヒロ

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのアキヒロのレビュー・感想・評価

3.9
面白かったです。

謎の青年・マーティンとスティーヴンの関係性がずっと秘匿されてて、不協和音が後ろで流れ続けています。
それが不気味でしょうがない作品。

この映画は「神の怒りに触れてしまった医師がその代償を払わさせられる」という内容で、
理不尽さ・得体のしれなさがまた恐怖映画として一躍買っていますね。

その内容は『ジョジョ』だと思うと飲み込みやすいです。
これは、マーティンというスタンド能力者がコリン・ファレルに能力を発動させる話なんです。

【ルール】
①マーティンはスティーヴンの医療過失と引き換えにスティーヴンの家族に死の呪いをかけた

②その呪いは四つのステージに分かれ、第三ステージまで到達するとものの数時間で死に至る
⑴足が麻痺
⑵摂食障害
⑶目から出血
⑷死亡

③この呪いを回避するためには家族一人の命を差し出さなければならない

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家族全員死ぬか、誰かを自分の手で殺すかという二者択一が常軌を逸していて面白いです。

今日び、僕らがそんな2択を迫られても「全員死ぬくらいなら1人死んだ方がマシ」と思うかもしれませんが、
キリスト教圏では「天国と地獄」という概念があるので、前者は全員死んでも天国で全員暮らせますが、
後者は誰かを殺した1人は地獄に落ちなければならず、死後天国に行く他の3人とは違い、家族が離れ離れになってしまうのです。

しかし、地獄に落ちないためには「過失判定」を受けねばならず、その回避策として「目隠しルーレット」が採用されましたが、アレなら「息子を撃ったのではなく、撃った先に偶然息子がいた」ということになるのかもしれませんね〜。


『聖なる鹿殺し』というタイトルから宗教的暗示があるのは明らかで、そこを深く知るとより理解が深まるかもしれません。
アキヒロ

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