HAYATO

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのHAYATOのレビュー・感想・評価

3.8
2024年10本目
心臓外科医・スティーブンは、美しい妻や可愛い子どもたちに囲まれ順風満帆な人生を歩んでいたが、謎の少年・マーティンを自宅に招き入れたことをきっかけに、子どもたちが突然歩けなくなったり、目から血を流したりと、奇妙な出来事に襲われてしまう。
本日行われた第81回ゴールデン・グローブ賞授賞式にて、ヨルゴス・ランティモス監督の『哀れなるものたち』が、作品賞(ミュージカル&コメディ部門)と主演女優賞(ミュージカル&コメディ部門)をめでたく受賞したので、同監督作品を鑑賞。それにしても今年のゴールデン・グローブはホストを務めたジョー・コイのジョークが酷すぎた。もし自分がテイラー・スウィフトにあんな顔されたらしばらく寝付けない。
物語は古代ギリシアの悲劇詩人・エウリピデスの『アウリスのイピゲネイア』を基にしている。
コリン・ファレル×ニコール・キッドマンの2大オスカー俳優が共演。
ヨルゴス・ランティモスらしい奇想天外なストーリーと不気味で薄気味悪い世界観が炸裂していて、耳障りな効果音とミステリアスな音楽を使って独特な緊張感を漂わせている。
『ザ・バットマン』では名だたる俳優たちが演じてきたジョーカー役に抜擢された若き天才俳優・バリー・コーガンの怪演が際立っていて、彼が演じるマーティンの本性が次第に顕になっていく様は鳥肌もの。
劇中で言及されるマーティンの好きな映画が『恋はデ・ジャヴ』であることは気になるポイントで、『恋はデ・ジャヴ』は、主人公が何度も同じ日を繰り返して自分を見つめ直す内省的なストーリーであったことから、スティーブンの怠慢によって父を失ったマーティンが、スティーブンに反省を促していたのではないかなとも思える。
終始スティーブン一家に人間的な情緒を全く感じないところが恐ろしく、危機的な状況の中、家族が連帯するどころか、各々が超個人主義的な言動をとる姿が印象的だった。
HAYATO

HAYATO