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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのakiraのレビュー・感想・評価

3.5
個人的に「女王陛下のお気に入り」につづき、2作目のヨルゴス・ランティモス監督作品。
やはりものすごく独特な世界観。

退屈に感じるところもあったけど、最後までどうなるんだろうと興味をもって見られた。

本編の感想とはちょっと離れるけど、今回見終わって色々ふりかえり、自分にとって映画の面白さ≒いかに感情がゆさぶられるか、なのかなと思った。

前半、不穏な雰囲気の中でみんなが淡々と人形みたいに喋り、「問題ない家族」のふりをしている様子は、たしかに奇妙で興味深い。
徹底的に作り込まれた世界観の中で、不穏さ"だけ"を突き詰めた映像という意味で、たぶん芸術的な価値はあるんだと思う。
でもひたすらに"不穏さ"だけを感じていると、さすがに飽きてくる。

後半、家族の和がどんどん崩れて、登場人物たちが感情的になって暴力をふるったり、醜いご機嫌とりに走ったりする展開の方が、いろいろな感情の動きがあって、個人的には面白かった。

一般論として、ふつうに生きていて、たった2時間のうちに感動やら恐怖やら、いろんな感情が大きく揺さぶられる経験なんて中々ない。
それができるのが映画のいいところかなと思う。

逆にいうと、登場人物が淡々としていて取り乱さず、共感しづらいような映画は、"合わない"と感じやすいのかもしれない。
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