たくみ

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのたくみのレビュー・感想・評価

3.4
【報い】
ヨルゴス・ランティモス監督作品。
『ロブスター』観たいけどサブスクに無いのでこちらを鑑賞。

これは神話系詳しいと楽しめる系の作品なのかな。
かなり難解でした。映画内で提示される情報だけで理解するのはかなり厳しいです。
今から観る人はある程度ネタバレ見てしまってもいいかもしれないです。

とにかく気味が悪い。
マーティンを中心にある家族が崩壊していく様を描きます。
『家族ゲーム』に少し似ていると感じました。
呪いという非科学的なものを用いているが、実際にその現象が家族を苦しめる事になると、何かにすがってでも命乞いしたくなるのもわかる気がします。
何がきっかけで家族が苦しめはじめているのか。どうすれば家族が救われるのか。
この線引きが曖昧なため、最後の選択と結末が紐づいているのかがわかりませんでした。
これを胸糞とか考えさせられる作品と捉える方がいらっしゃるのかもしれませんが私は上手く呑み込めませんでした。

マーティンが本当に呪いを司っているのか。
個人的にはマーティンを殺してしまった場合のIFの世界が見てみたかったです。
彼を殺すことで呪いを解けるのか。それとも地獄は続くのか。

大学時代に、功利主義の勉強をしていたので本作は「トロッコ問題」に近いと感じました。
家族の誰かを殺せば残りの家族は助かる。殺さなければ皆殺し。
悪いのは自分だが自分が死ぬ気はない。さぁどうする。
てきな。

こういう問題は基本的に答えはないです。
民主主義的には「最大多数の最大幸福」の考え方でいくのが一番まるく納まります。
「マーティンを殺す」が家族への被害が最小限なので選ばれる気がしたのですがこの家族は選択しませんでしたね。
なんでなんですかね、家族より守らないといけないものがスティーブンないし家族にはあったのかもしれません。
こういうIFを考えるのが楽しかったなと大学時代を思い出しました。

こういう頭使う映画も偶には観とかないとね。
馬鹿みたいな映画ばっかり観てると映画脳腐っちゃうので。
考察読み漁りたいと思います。

【その他メモ・独り言】
・冒頭の心臓は本物。
たくみ

たくみ