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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのmitzのレビュー・感想・評価

4.0
厳格な父親スティーブンは心臓外科医、上品な妻アナは眼科を経営する裕福な4人家族。スティーブンと頻繁に会うマーティンという少年。その家族がマーティンと関わりを持ち始めることで起きる不可解な出来事、という奇妙な物語です。
ギリシャ神話を題材にした「聖なる鹿殺し」という独特な作品名から連想されるように物語の根幹には「生贄」というテーマがあります。
スティーブン以外の登場人物たちは無表情で感情が見えず、様々な意味を隠喩する伏線と不気味なストリングスの不協和音など、良質な演出で構成された作品です。特に彼らが邂逅するラストシーンが印象に残ります。
人知では到底理解できない異常な内容ですが、カンヌ脚本賞に裏付けされるように、それでも成立している秀作です。マーティン演じるバリー・コーガンの演技力だけでも観る価値はあります。
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