ションダー

太陽の子のションダーのレビュー・感想・評価

太陽の子(2015年製作の映画)
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※日本では原住民族は差別用語で先住民族を使用することが一般的だが、台湾では原住民族の人々が自らの手で「原住民族」呼称を求めてきたこと、また中国語の先住民族は意味が異なってきてしまうためここでは「原住民族」を使用する。

観光地開発と原住民族の土地の継承の2つの間で揺れる原住民族の人々を描いたフィクションであるものの、実話をベースに作成された作品。

「土地を奪って観光地開発なんてけしからん」ということではなく、2つの意見とも村の未来を考えた結果であるということを忘れてはならない。

東部は北部、中部、南部と比較して経済水準が低く、雇用もあまりない。そのため若者の多くが都市へ働きに出ていってしまい、先祖代々受け継がれてきた土地や文化、言語の伝承が難しくなっている。

また東部の主要産業の1つに観光業があり、台湾のみならず、国内外から多くの人が訪れている。そのため雇用を創出し観光業を盛り上げていくこともまた東部に住む人々、原住民族の人々の生活を守ることに繋がっている。

しかしながら、原住民族の踊りが観光業化した影響で、一つ一つの動きに意味があったものが形骸化し、もともと原住民族にとって神聖な場所であった土地も一度手放せばもう二度と帰ってはこない。

このような現在台湾東部が抱えている問題を映画を通じて知ることができる。

また台湾東部の美しい風景、原住民族の鮮やかな伝統衣装や踊り、セリフの大半がアミ語のため、台湾東部に興味がある人は必見の映画だと思う。
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