グラッデン

ギフト 僕がきみに残せるもののグラッデンのレビュー・感想・評価

4.1
本作の語り手でもあるグリーソン氏も述べるように、ドキュメンタリー映画というよりは人生の記録を見ている印象を受けました。

本作はALS(筋萎縮性側索硬化症)を宣告された元NFL選手が息子のために撮り続けてきたビデオ日記から作られています。

ドラマチックな作られた映像ではなく、撮り続けてきた生の記録を映し続けることでALSの過酷さや辛さが痛く伝わりました。

特に、街の英雄として讃えられるスター選手でありALS患者の代弁者として表舞台で活躍する一面だけでなく、病気の進行に対して介護の手を借りる姿や苛立ちの言葉もしっかりと伝えたことで難病を宣告された人が感じる複雑な心境を垣間見ることができました。

また、時系列の進行とともにALSで様々なものが失われていく父親と、すくすくと成長する彼の息子の対称性は切なくも感じます。しかし、迫り来る死に対する絶望と向き合う中で、息子のために生き続けるという希望を見出す父親の強さに感服します。少しでも長く息子さんとの時間を過ごして欲しいと思いました。

医療関係者の方が教材に使いたいとの声もあるように、本作には、ALSに対する認識を深めてもらう意図も強く含まれていると思います。映画上映というかたちだけでなく、様々な現場で見る機会を設けて欲しいです。