プペ

僕のワンダフル・ライフのプペのレビュー・感想・評価

僕のワンダフル・ライフ(2017年製作の映画)
4.0
決して幸福とは言えない人生を流転していく「犬」。
しかし、ある時、幸福な"出会い"が待っていた。僕はこの家族に会うために流転してきたのだと。


僕の友達は一人の少年。
いつも一緒。
寝る時も一緒。
彼はすごいんだ、夜にシーツにくるまりいろいろな話を聞かせてくれる。
いたずらをしてパパに怒られた時も守ってくれた。
僕たちは大きくなり、少年にはつがいができた。
それでも僕たちは一緒に遊んだよ。

でも別れの時が来た。
僕はだんだん寂しさに耐えられなくなってまた違う人生を歩むことになる。


この犬はこの後も流転の人生を巡っていくのだが、最後に奇跡が起きる。
この映画には人生に負けていく人々も同時に描かれている。
でもこの犬はどんな時も人に寄り添い癒してくれる。それが受け入れられなくても。


無償の愛の塊が命を閉じる場面に号泣しながら、それぞれの飼い主の見え隠れする「設定」や「物語」に考えさせられる映画だった。

仕事のしくじりから呑んだくれで家庭崩壊。
挫折と愛するものとのハチャメチャな青春の別れ。
同じく愛するものとの離別をただ耐える警官。
内気ゆえに関係を作れない大学生。
家庭崩壊まるわかりの家族に引き取られる犬のネグレクト。

人間側の物語を全部出せば、この映画は成り立たなくなるので、これぐらいの含みでちょうどいいのだ。


矛盾だらけの人間に寄り添う犬…。
そんな人間の、弱く悲しく汚い部分にチクリと針を指した映画であった。
と、まあ初鑑賞からかれこれ日数が経っても、熱くならずを得ず、また語り尽くせぬ。

ああ…続編は劇場で見よう。
「犬」の「無償の愛」を、スクリーンを通して目一杯受け取ろう。
そして、ひたすらに涙する時間を堪能しよう。
プペ

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