前日譚ながら単体で観ても十分おもしろい傑作ホラー。恐怖演出へのこだわりが尋常ではない。
インチキ降霊術で人の心を救おうとする母親が、ウィジャ盤を使ったことで邪な霊を呼び起こしてしまい...というお話。すばらしいのは流血やグロテスクなシーンがないということ。その代わりに恐怖演出が非常にスマート。口が大きく開いたり首が不自然に曲がっていたりする女の子の姿を、時には突然画面の中心に、時には画面の暗がりの奥にひっそりと、という感じで登場の仕方を微妙に変化させることで、映画全体を通して恐怖演出がマンネリ化せず、常に緊張感が漂っている。画面全体のどこに恐怖描写があるか、常に警戒させることが出きる工夫がすばらしい上に、流血のような分かりやすい道具に頼らず純粋な嫌悪感を出させるビジュアルへのこだわりは見ごたえがある。特にこの映画のラスト数秒は、たった数秒であるにも関わらず克明に印象に残る名シーン。視界の奥から天井を逆さずりの状態ですーっと接近してくる少女の姿は人によってはトラウマもの。
流血に頼らず身の毛もよだつ経験がしたい方におすすめの傑作ホラー。
