このレビューはネタバレを含みます
矢口監督は前作の「WOOD JOB!」も含めて好きな監督であるが、今回ばかりは予告でだいたい展開が読め、かつギャグもどこか見たことある展開で正直劇場で観る気は全然しなかった。
それは的中した気がする。予想していた展開とはちょっと違い、コメディであるけど何処となく「アイ・アム・ア・ヒーロー」のような雰囲気が出ている。
ともすれば面白くなりそうなんだが、どうもノレない。
なぜか?
徹底的に足りないのはリアリティだ。
映画というものは大きい嘘をついてもいいが、小さい嘘はついてはいけない。
電気が通じない。電池もダメ。水道も流れない。ここまではいい。
だが、この時点で飛行機もダメだろうと小学生でも気づくであろうが、主人公ファミリーは羽田までチャリで行く。
まあ、それはドジなファミリーということで、百歩譲ったとしても肝心の羽田に着いたときに、初めて飛行機が止まっていることに利用者が気がついて警察と衝突する。
おかしくない?この時点で事が起きてから一週間も経っているのよ。使用不可とか立ち入り禁止の立て看板がドーーンと経っていて人っ子一人いないならわかるけど、あたかもその前日までは飛行機が動いてました的な都合のいいことは無いだろう?
その前のシーンにある町の人たちの談合シーンもなんだかなあ。小学校の卒業式じゃねえんだから。いかにも、ありそうな持論を順番に述べてるだけで、ほぼ棒読み。それなりな役者は揃えてるんだろうけど演出が下手なのか身振りとかも含めて全然現実感が無いんだよね。これが舞台だったら誇張するのはまだいいよ。
後半の犬に襲われるくだりも漫画「サバイバル」のように面白いのだが、もっと早い展開でそれが起きてもおかしくない。
話にのりそうな時にことごとく矛盾点が浮かび上がるのだものな。こんなにもテンポがのろく感じる矢口作品は初めてだよ。題材は良かっただけに、もっと脚本をブラッシュアップして欲しかった。